株式会社ナピル
当社EMSプラットフォーム 「ENECloud」および EMS制御装置 ENE シリーズ 「ENE-C300(高圧向け)」「ENE-G300(低圧向け)」において稼働する新機能「蓄電池協調制御エンジン(Battery Coordinated Control Engine)」を開発しました。
本機能は、複数のPCS(パワーコンディショナ)および複数の電池クラスタ/ラックが並列接続される蓄電池システムにおいて、 個々の電池の容量・劣化度・SoC(残量)に応じて出力を動的に協調分配するとともに、BMSからの充電禁止/放電禁止信号に対して 100ms演算周期での高速協調制御を実現する、蓄電池システム運用の中核制御エンジンです。
対応機種:ENE-C300(高圧向け)/ENE-G300(低圧向け)
対象外:ENE-M100(住宅向け)は、本機能のサポート対象外です。
大規模な蓄電池システムでは、複数の電池クラスタ/ラックが並列運転されますが、製造ロットや劣化進行度、温度環境の差により、各電池の実効容量・SoCは時間とともに乖離していきます。従来の均等配分方式では、以下のような課題が顕在化していました。
系統用蓄電池の大容量化と運用要件の高度化が進むなか、複数PCSの協調制御において、より短い周期での演算と即時の状態反映を実現することが、産業界からの強い要請となっています。多PCS並列構成における高速かつ安全な配分制御は、市場拡大とともにそのニーズが急速に高まっています。
当社は、これらの要請に応えるため、組込みコントローラに最適化された配分制御エンジンの研究開発を進め、ENECloud および ENE-C300/ENE-G300 上で動作する本機能の実装に至りました。
各PCSに紐づく電池の容量・SoC(残量)・劣化度に応じて配分の重みを動的に決定し、システム全体のSoCを段階的に均一化します。SoCが低い電池には充電を多めに、SoCが高い電池には放電を多めに配分する仕組みにより、一部電池の早期枯渇や満充電による全体停止を回避し、システム可用時間を最大化します。
シミュレーション(4×100kWh、初期SoC 20/40/60/80%)では、4回のディスパッチサイクルでSoCの偏差が60%から0.2%未満まで収束することを確認しています。
算出された重みに基づき、各PCSへ電力を配分します。配分処理は、ハードウェア上限の保護、余剰量の再配分、定格電力の最終保護の段階的な処理として実行され、各PCSの能力範囲内で電力配分を最大化します。
本エンジンは 100ms周期でディスパッチ演算を実行し、PCSへ配分指令を発行します。BMSの状態変化はプッシュ通知方式で即時取得し、次回のディスパッチサイクルに反映する設計により、ポーリング方式に依存しない高速な協調制御を実現しました。
また、PCSに紐づく電池のうち1組でも放電禁止を発出した場合は、当該PCSを停止させる保守的な安全規則を採用しており、電池間の不均衡に起因する二次故障を未然に防止します。停止したPCSが担っていた出力は、隣接PCSが次回のディスパッチサイクルで自動的に引き受けます。
接続されているPCS台数に応じて、システムが最適な配分ポリシーを自動選択します。
設定ファイルにより、PCSと電池の対応関係を現地ごとに定義できます。
並列接続されたBMSの能力集約には、システム構成に応じて以下の2つのポリシーを選択できます。
構成例:2台のPCSがそれぞれ2クラスタずつ管理し、計4組(各100kWh)の電池を運用するシステムにおいて、Cluster-Dで突発的なセル温度異常が発生し、BMSが放電禁止を発出するケースを想定します。
| SPECIFICATION | |
|---|---|
| 機能名 | 蓄電池協調制御エンジン(Battery Coordinated Control Engine/略称 BCCE) |
| 対象製品 | ENECloud(クラウド側)/ENE-C300(高圧向け)/ENE-G300(低圧向け) ※ ENE-M100(住宅向け)は本機能のサポート対象外 |
| ディスパッチ演算周期 | 100ms |
| SoC収束性能 | 4回のディスパッチサイクルで偏差60% → <0.2%(4×100kWh、試験条件下での代表値) |
| 配分処理 | 段階的な配分処理(上限保護・余剰再配分・定格保護) |
| 配分ポリシー | 単PCS直接指令モード/多PCS SoCバランシングモード(自動切替) |
| トポロジ対応 | クラスタ単位(Cluster)/ラック単位(Rack) |
| BMS集約方式 | SUM加算モード/MIN×N 保守的モードの選択可能 |
| 構成方式 | 設定ファイルによる定義(現地ごとに調整可能) |
| 認証・準拠 | ISO/IEC 27001、ISO/IEC 27017 |
| リリース時期 | 2026年Q2 限定β/2026年Q3 商用版一般提供 |
本機能は、当社エコシステムの構成要素として、現場制御からクラウドオーケストレーションまでを一気通貫で統合します。
ENECloud との連携により、本エンジン向けの設定配信、運転スナップショットの取得、SoC収束履歴・配分実績レポートの取得が可能です。